継続的なリモート患者モニタリングデバイスを開発する、米国のベンチャー企業BioIntelliSenseが、シリーズBの資金調達を実施したことを発表した。資金調達額は45m$(約49億円)となっている。

フィリップスも出資者で参画

今回の資金調達ラウンドはUAEの投資会社であるChimeraがリードインベスターとして主導している。

そして、その他の出資者にはデジタルヘルス領域のVCである7wire Technology Partnersや、投資家のMary Tolan氏(Chicago Pacific Founders)、James Murren氏(MGM Resorts International)、Pendrell Corporation、ヘルスケア大手のRoyal Philips、370万人もの腎臓疾患患者へ製品・サービスを提供するFresenius Medical Care North Americaが参画した。

特にフィリップスについては、以前からBioIntelliSenseと共同プロジェクトを行う関係にあり、今回、出資を通して更に両社の関係を深くする動きとなっている。

参考:米国国防総省が医療用ウェアラブルでCOVID-19を早期検知するフィリップス・BioIntelliSense・コロラド大学の共同研究に資金助成

「COVID-19のパンデミックの負担と慢性疾患の急増により、わずかな費用で、より良い患者ケアを提供するリモートケア技術に対する世界的な需要が飛躍的に高まっています。」

リードインベスターのChimeraの会長であるSyed Basar Shueb氏と語っている。

小型の医療グレードウェアラブルデバイス

BioIntelliSenseが開発しているのは、小型の医療グレードウェアラブルデバイスだ。

同社が開発したBioStickerは、胸の上部に張り付け、最大30日間の継続的なバイタルサインモニタリングを可能にする。一度貼り付けたら計測期間が終了するまで、張り付けたことを忘れるようなユーザー体験を演出する。このデバイスは以下のような生体センシングが可能となっている。すでにFDA認定も取得しているデバイスだ。

  • 呼吸数、安静時の心拍数、皮膚温度
  • 体位、活動レベル、睡眠状態
  • 高解像度の歩行分析と手順
  • 症候性イベント

また、フィリップスとの共同プロジェクトで使ったデバイスはBioButtonは、更に小型のデバイスとなっており、安静時の継続的な体温、呼吸数、心拍数の傾向、咳の頻度等をモニタリングすることができる。1つの用途としてCOVID-19の症状モニタリングに活用が期待されており、米国国防省からの資金で早期発見の研究開発が実施されている。

DaaS(Data as a Service)臨床プラットフォーム

さらに同社の特徴的な取り組みとして、DaaS(Data as a Service)臨床インテリジェントプラットフォームが挙げられる。

これは2020年1月にFDA認定を受けた同社主力製品のBioStickerTMや、BioButtonを使い、患者をリモートモニタリングするサブスクリプションシステムであるが、患者の傾向と健康状態の高解像度ビューを医療機関にも提供する。

手術前のベースラインの状態把握や、入院患者の状態の監視、慢性的な疾患状態の管理、患者の自宅での悪化状態の早期発見などを用途として想定している。

今回調達した資金は、これらのシステムや同社製品をグローバルに拡大するのに活用するという。

 

同社HPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
以前より当メディアでも度々取り上げていたBioIntelliSenseがシリーズBに到達しました。すでにFDA認定を取得しているデバイスもあり、一部製品は商業化フェーズにあります。同社のデバイスは医療グレードであり、ユーザーにとって装着・利用しやすく、デバイスだけでなくデータ解析側の技術も保有している点で今後の医療ウェアラブルの有望ベンチャーの1社と言えます。

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