ウェアラブルで取得した生体データを元に老化度合いを評価し、モニタリングを行うスマートフォンアプリを開発する米国ベンチャー企業のHumanityが、シードラウンドの資金調達を実施した。

Crunchbaseによると、2.5m$(約2.7億円)の資金を調達し、これまでに調達した資金の総額は5m$(約5.5億円)になるという。

老化率という新しい軸にチャレンジ

同社は医療側ではなく、ウェルネスとしてこのアプリを位置付けている。

そして、同社のアプリは一般消費者向けのウェアラブルデバイスとも同期を取り、老化率の判定に一部データを活用する。Apple Watch、Mi band5、Oura Ringがデバイス連携の対象だ。

ユーザーはウェアラブルデバイスとアプリを通して、AIとアルゴリズムにより老化率をモニタリングし、老化を遅らせる、または逆転させるために実行できるアクションを示される。

老化を判定したり、改善と結びつけるうえで見ているポイントは以下となっている。

  1. 動作・運動
  2. 栄養
  3. 精神状態
  4. 睡眠サイクル

特にウェアラブルデバイスからは1の動作・運動に関するデータと睡眠サイクルに関するデータを取得しており、心拍数や歩行速度などのバイオマーカーが老化率予測アルゴリズムで使われている。

なお、老化率予測の精度を高めるために、アプリ上では空腹時血糖値、コレステロール、全血球数などの血液マーカーもデータとして入力することができ、また、遺伝子マーカー解析のデータも入力できるとしているようだ。(恐らく血液検査のデータを後追いでユーザーが自分で入力する形と想定される)

同社は、老化率の判定において、英国のUK Biobankを母集団として使う。このUK Biobankは公衆衛生研究のためにグローバルにアクセスできる独自の強力な生物医学データベースであり、情報提供者の同意の元で、英国の50万人の遺伝子情報と健康情報(同意者は定期的に血液、尿、唾液のサンプルを提供し、情報として蓄積されている)が登録されている。

同社のアプリは、現在、英国とアイルランドでiOS限定でテストユースされている状態であり、Longevity Technologyによると1)、年内にさらに具体的なパーソナライズされたアドバイス提示機能が追加されるという。


ー 技術アナリストの目 -
老化率という非常に新しいパラメーターを打ち出してきましたが、まだシードステージであり、科学的な裏付けや実証に関するデータが公開されていないため、本当に使えそうなものなのかの判断が現時点では付きません。現在はほぼステルスモードなのですが、もう少し時間が経てば、様々なデータも示されるのではないかと推察します。アンチエイジング技術は切り口としては大変興味深いため、引き続き注視したいと思います。

【アンチエイジング技術に興味がある方】

世界のアンチエイジング技術、老化バイオマーカーに関する技術開発・研究の動向や網羅的なロングリスト調査に興味がある方はこちらも参考。

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参考文献:

1) The app that helps you slow your aging, Longevity Technology