Levo​​ Mobility LLC(Levo)はこの8月に入ってから設立された合弁会社であり、Fleet as a Service(FaaS)という、興味深いビジネスモデルにチャレンジしようとしている。

V2Gシステムを開発するNuvveによる合弁

Levo Mobilityは2021年8月に合弁会社として設立された。

独自のV2G(Vehicle-to-Grid)システムを開発しているNuvve Holdingと、輸送・ロジスティクス、通信、水、電力と再生可能エネルギーなどへの投資を行う大手投資会社のStonepeak、そしてEvolve Transition Infrastructure LPによる3社合弁である。

Levoは、事業者が保有している商用車・バス・シャトルをEVに置き換えることを支援するサービスをターンキーで提供する。

特に特徴的なのは、FaaSというサブスクモデルにしたことだ。事業者は初期費用無しで、自社が保有しているガソリン車をEVに置き換え、充電インフラを整備し、すぐに運用を始めることができる。

料金形態は前払い費用なしの月額固定料金で、サイト計画、建設サービス、V2G(Vehicle-to-Grid)対応EVと関連する充電インフラストラクチャの展開、および顧客のフリートをシームレスに移行するためのメンテナンスと、V2Gエネルギー管理サービスを含むターンキーサポートを提供する。

また、NuvveのV2Gプラットフォームにより、EVバッテリーが再生可能エネルギーからの低コストでクリーンな電力を含むエネルギーを貯蔵し、車両が駐車している間、この蓄積されたエネルギーをグリッドに安全に放出できるようにし、EVの所有コストを削減する。

StonepeakとEvolveは、Levoに合計7億5,000万ドル(約819億円)を拠出することを計画しており、資金はLevoの事業展開を推進するのに活用される。

主要ターゲットはスクールバスの電動化

Levoの最初のターゲットはスクールバスの電動化だ。

スクールバスの電化は、米国バイデン政権にとって重要なテーマの1つとして挙げられている。バイデン政権が掲げた2.3兆ドルものインフラ計画をベースに、国のガソリンおよびディーゼルエンジンのスクールバスを電気自動車に転換するために、250億ドルを投資する法律が今年4月に発表されている。

スクールバスは米国全体のバスフリートのうちの90%を占めており、毎日2,500万人近くの子供を運んでいる。法律によると、EVスクールバスに交換していくこと、そして充電ステーションを構築していくこと、また関連するオペレーターなどのトレーニングの費用などを支援する。

Levoはまさにこうした市場をターゲットとし、初期費用の負担無しで、導入をするモデルとして事業を行おうとしている。

V2GのNuvveには豊田通商も出資

なお、今回LevoのEVフリートサービスにおいてV2G(Vehicle to Grid)の技術を提供するのはNuvveであるが、同社には豊田通商も2017年に出資をしており、豊田通商と中部電力で日本でも実証実験を行っている。

 

LevoのHPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
米国のスクールバスの電化は、直近の電動化トピックにおける1つの主要テーマとなっており、最近、中国のBYDもEVスクールバスへの参入を表明しました。また、今年に入って米国の新興電気バスメーカーのProterraもスクールバスのEV化への大型受注を発表しています。一方で今回のLevoのように初期費用ゼロで、月額課金でフリートをすぐに置き換えることができるというビジネスモデル側でのアプローチも始まりました。ただしLevoのポイントは、Nuvveの技術を使ってV2Gで再生可能エネルギーで発電された電気を最適化することができる点も特徴的です。今後、こうしたアプローチが通用するのか同社の動向には要注目です。

【世界の電動化動向に興味のある方】

世界のEVバス・商用車などのプレーヤー動向、V2Gの技術動向などに興味のある方はこちらも参考。

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参考文献:

1) Democrats push $25 billion for electric school buses, a Biden priority, PBS News Hour