短期でのマネタイズを狙う自動運転トラック事業

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転システムを開発しているWaymoは、直近、これまで取り組んできたロボタクシー事業のWaymo Oneに加え、自動運転トラックを開発するWaymo Viaに力を入れている。

比較的短期的にマネタイズが期待される自動運転トラックであるが、8月18日に、トラック輸送ハブをテキサス州北部のダラスに建設していることを発表した。このハブ施設は、テキサス州の主要なオペレーションセンターとなり、複雑なテストニーズを可能にする際に、何百ものトラックや人員を収容することができる。

このダラスのオペレーションセンターは、南西部を横断する長距離路線をサポートし、フェニックスオペレーションセンターと繋げるのにも適しているという。(Waymoはアリゾナ州フェニックスに巨大な自動運転車のサービスセンターを保有している)

Ryderとメンテナンスで提携

Waymoは合わせて、米国の大手物流・輸送会社であるRyder Systemとの提携を発表した。この提携は、自律走行トラックのメンテナンスに焦点を当てたパートナーシップとなっており、Waymo Viaのアメリカ全国の規模の運用に必要な信頼性を確保するために締結された。

Ryder Systemは、現在約235,000台の商用車を管理し、約6,400万平方フィートを含む300以上の倉庫を運営している。また、米国に500以上のメンテナンス施設と約90年間ものフリートメンテナンスの蓄積・専門知識のネットワークを保有している。

Waymo Viaのトラック輸送商品化責任者であるCharlie Jatt氏はこう述べている。

「自律トラック輸送事業を拡大し続ける中で、Ryderよりも優れたパートナーを見つけることができませんでした。Waymo ViaのビジョンとオペレーションとRyderの専門知識とリソースの間には多くの相乗効果があり、業界で最高のクラスのソリューションを解き放ち、自律走行型トラックを全米で市場に投入することを楽しみにしています。」

6月に大型の資金調達を実施

Waymoは直近6月に大型の資金調達(約2,700億円の調達)を実施しており、当面の活動資金・投資余力を確保している。一方で4月には長年Waymoを率いてきたジョン・クラフチックCEOが辞任するなど、経営方針の修正も見られる。

参考:自動運転のWaymoが約2,700億円の資金調達を実施、AlphabetやMagnaらが引き続き出資

 


ー 技術アナリストの目 -
これまで同社が注力してきたロボタクシーは現在も活動が続いていますが、この1年でWaymoはトラック事業であるWaymo Viaで様々な動きを見せています。背景にはロボタクシーのマネタイズが想定よりもかなり時間がかかっていること、そろそろ多大な投資をどのように回収していくのか、自動運転技術の収益化が求められるタイミングに来ており、自動運転トラックでマネタイズを図りたいという思惑があるのだと想定されます。Aurora Innovationも初期ターゲットをトラックに定める路線に戦略を修正してきており、自動運転トラックの事業化動向は要注目となっています。

【世界の自動運転プロジェクトの動向に興味がある方】

世界の自動運転プロジェクトのベンチマーク調査、自動運転トラックの技術動向調査、ベンチャー企業のロングリスト調査などに興味がある方はこちらも参考。

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