フードデリバリーサービス大手のGrubhubと、ロシアの自動運転企業のYandexが、米国のオハイオ州立大学で、食品の自動配送ロボットによる配達サービスを展開することを、8月19日に発表した。

オハイオ州立大学キャンパス内で50台の配送ロボットが稼働

今回の舞台となるオハイオ州立大学は、1870年に設立された、歴史ある米国の有名公立大学である。US News & World Reportでは全米の公立大学17位(2021年)、全米大学53位(2021年)にランキングされている1)

在校生は6万人を超えており、今回の配送ロボット展開では、キャンパス内で50台が配備され、60,000人超の学生はGrubhubのアプリを通してこのサービスを利用することができる。

このローバー(配送ロボット)は、週7日午前9時から午後9時まで稼働し、学生は、ロボットにキャンパス内のすべての寮、図書館、ホール等に食べ物を届けるように配送場所を指定することができる。ロボットは、食べ物を適切な温度に保つ保温ボックスを備え、コーヒー2杯とベーグルサンドイッチ、または複数のピザを配送するのに十分なスペースを持つ。

この配送ロボットは、自動車でのアクセスが難しい場所や、キャンパスの横断歩道、歩行者エリアを自律的に低速(時速3~5マイル)で走行する。日中や暗くなった後や、雨や雪などのさまざまな気象条件でも問題無く移動することができる。

ロシア発の自動運転企業Yandex

今回、自動運転ローバーを提供しているのはYandexというロシアの自動運転企業だ。Yandexは自動運転車を170台保有しており、さまざまな気象条件や道路状況で、ロシア・イスラエル・米国の公道を700万マイル以上走行している。

元々はロシア国内を中心にインターネット検索サービスを提供する企業であり、Yandex自体はロシアのIT大手となっている。2017年から自動運転分野へ参入し、多額のR&D投資を行っている。

乗用車の自動運転システムについては、現代モービスと共同開発を行っており、現在第4世代の車両となっている。2020年9月には、自動運転部門だけを切り離した独立会社として、Yandex Self Driving Groupを設立した。

 

今回、本格的な導入を決めたオハイオ州立大学のダイニングサービスシニアディレクターのZia Ahmed氏はこう述べる。

「私たちは先端的なダイニング体験を生徒たちに提供できることを誇りに思います。我々は常に、キャンパスで食事を提供できる、可能な限り便利な新しい方法を提供できるよう模索してきました。」

 

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ー 技術アナリストの目 -
同じく大学キャンパスにおける食品や小包などの自律配送を行うロボットを開発するStarshipなどが競合として挙げられます。Starshipもキャンパス内では順調に配送回数を重ねており、まずは環境変化が大きい街中ではなく、比較的環境が静的な大学キャンパス内に絞ってサービス社会実装の実績を作るというのは理に適った戦略であるように見えます。

【世界の自律配送ロボットのベンチマークに興味がある方】

世界の自律配送ロボットのプロジェクトのベンチマークや、ベンチャー企業のロングリスト調査、各社の特徴比較や実証実験の動向調査など、興味がある方はこちらも参考。

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参考資料:

1) NIC International College in Japan, オハイオ州立大学の紹介ページ(リンク