ロシアの検索IT大手企業のYandexが、ライドシェア大手のUberから、両社の合弁事業として設立されていたYandex.Eats(フードデリバリー)、Yandex.Lavka(宅配スーパー)、Yandex.Delivery(都市内配達サービス)、Yandex Self-Driving Group(自動運転)の株式を買い取り、全て100%の持ち分になることを発表した。

YandexとUberの合弁事業

YandexはUberとの合弁事業で、Yandex SDGとMLU B.V.という2つの企業で事業を行っていた。Yandex SDGは自動運転技術を開発しており、MLU B.V.はフードデリバリーや宅配サービスなどを行っている。

今回の組織再構成の動きにより、UberはSDGの株式を売却するとともに、MLUから3つの事業が切り出され、それぞれの事業の株式を売却することになる。

Uberが株式売却する事業を整理すると以下となる

  • Yandex.Eats(フードデリバリー)
  • Yandex.Lavka(宅配スーパー)
  • Yandex.Delivery(都市内配達サービス)
  • Yandex SDG(Self-Driving Group)(自動運転)

なお、今回YandexがUberから買い取る株式の金額はおおよそ10億ドル(約1,100億円)となっている。

YandexとUberは、3事業を切り離した後のMLU(配車・カーシェアのみ)の運営は合弁で続けるが、YandexはMLUの株式4.5%の持ち分を追加取得し、出資比率を71%に引き上げる。

Yandexは自社単独でロシアでのサービスに注力

今回の事業・組織再構成により、Yandexは自社単独で宅配やフードデリバリーにおいてロシアでのサービス拡大に注力することになる。Uberは近年、事業再編を急速に行っており、自動運転部門やアーバンエアモビリティ部門を売却し、本業にリソースを集中させていた。

(補足)ただし、こうした自動運転やアーバンエアモビリティなどのテクノロジーを捨てたわけではなく、自社で内製せずに、パートナー企業に出資を行い、将来のために繋がっておくという戦略に修正している。

参考:UberがJoby Aviationにエアモビリティ部門を売却

参考:自動運転ベンチャーAuroraがUberの自動運転部門を買収

 


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ー 技術アナリストの目 -
Yandexはロシアの検索エンジンのほとんどのシェアを独占しており、ロシアのGoogleと呼ばれています。今回の内製化の動きでもそうですが、非常に多角化しており、フードデリバリーから宅配サービス、配送サービス、ライドシェアと、いわゆる人・物の輸送に関連するサービスを幅広く手掛けながら、自動運転技術の開発を行っています。一部、ロシア国外でも事業開発の動きも見え、今後、どのように自動運転業界に食い込んでくるか、注目したい企業です。

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