先日のWHOOPによるソフトバンクビジョンファンド2などからの200億円超の資金調達から数日後に、WHOOPはスポーツテックのPUSHをしたことを発表した。

両社ともにウェアラブルデバイスを使ったサービスを展開しているが、PUSHの買収で、筋肉トレーニングにおけるより深い洞察を行う技術を強化することになる。

参考:デジタルフィットネスのWHOOPがソフトバンクビジョンファンド2等から約220億円の資金を調達

ウェアラブルとコーチングソリューションのPUSH

PUSHは2013年に設立されたカナダのベンチャー企業だ。ヘルスケアというよりは、いわゆるスポーツテックであり、大学、プロやオリンピックのアスリート、エリートの軍事チームにサービスを提供している。

自社で開発したバンド型のウェアラブルデバイスにより、「Velocity-Based Training(VBT)(※1)」と呼ばれるアプローチを可能にする。ウェアラブルデバイスに搭載された6自由度の慣性測定ユニットとアルゴリズムによって取得できる速度・加速度といった情報から、トレーニングの状態を可視化する。バンドを前腕またはトレーニング器具にストラップで固定し、Bluetooth経由でPUSHアプリに接続して、ワークアウトを開始するだけで計測が可能だ。

(※1)このVBTというトレーニング手法は、様々な学術研究で裏付けされた理論で、ゆっくりと大きな負荷をかけることで、従来より少ない練習量でパフォーマンスを最大化するとともに、疲労を最小化するというもの。

また、アプリを通してトレーニングのデータを共有しながら、リモートでパーソナルトレーナーやコーチからフィードバックを受けることもできる。

WHOOPは、今回の買収によりトレーニング活動とウェルネスに関する包括的なフィードバックを可能にするシステムを実現するという。


ー 技術アナリストの目 -
PUSHはまだアーリーステージのベンチャー企業ですが、そのソリューションはアスリートのトレーニング向けに特化してニッチに磨かれています。WHOOPは最適なトレーニングを取るための「リカバリー・休息」に焦点を当てており、広範なモニタリングとアドバイスを、「トレーニング」に焦点を当てたPUSHとの親和性が高く、今回の買収に至ったように思います。

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