自動運転シャトルバスを開発・運営している米国ベンチャー企業のMay Mobilityが、ミシガン州アナーバーで、研究機関のMcityとAnn Arbor SPARKとの共同で、自動運転シャトルの無償サービスを一般に公開することを発表した。

このサービスは2021年10月11日から開始する。

自動運転シャトルサービスA2GO

この自動運転シャトルサービスはA2GOというアプリを通して利用することができる。

合計で13か所の停車ステーションがあり、ユーザーはアプリから輸送して欲しいステーションを指定する。そして、ピックアップ位置まで行き、シャトルが到着したら乗るという形で運用される。

Ann Arbor SparkのA2GOからの引用

なお、各シャトルバス車両にはアテンダントが搭乗している。自動運転シャトルに搭乗しているオペレーターは、その場で常時車両をモニタリングしており、必要に応じて運転介入を行う。また、乗客からの質問に答えたり、サービスを改善するのに役立つフィードバックを提供することも行う。A2GO展開をサポートするために、アナーバーでは最大20人の自動運転車オペレーターを雇用する。

8か所目の自律走行シャトル

アナーバーでのA2GOのローンチは、May Mobilityが活動を開始して以来、8番目のシャトルの展開となる。

May Mobilityが現在、自律走行シャトルを運行しているのは以下だ。(8か所すべてで運行を継続しているわけではなく、あくまで現状運行されているのは以下という意味)

  • 米国:ミシガン州グランドラピッズ
  • 米国:テキサス州アーリントン
  • 米国:インディアナ州インディアナポリス
  • 日本:広島県東広島市

今回追加されるAnn Arborはミシガン州南東部に位置する都市であり、ミシガン大学本部キャンパスが位置する大学都市である。人口おおよそ11万人のうち、学生が3万人程度を占める。

ミシガン州は、元々はデトロイトが牽引していた自動車産業において、現在は自動運転コネクテッドカーの回廊を建設することを目指しており、先端技術をリードするために積極的に活動している。例えば、ミシガン大学傘下のMCityと連携して、Ann Arborをコネクテッド・V2Xなどのテストベッドにするなどの動きもある。

参考:コネクテッド・V2Xのテストベッドプラットフォームとなる「Mcity」

今回のMay Mobilityとの実証サービスの開始について、Ann Arbor SPARKの社長兼CEOであるPaul Krutko氏はこう述べている。

「A2GOのローンチを見て、自動運転のイノベーションがここで開発されているだけでなく、地域のモビリティインフラストラクチャの一部として、熱狂的に歓迎されていることを知って興奮しています。アナーバーの路上で最先端のテクノロジーを使用していることは、次世代のことに取り組む企業が、ここで前進することを示しています。」

 

May MobilityのHPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
自動運転(自律走行)シャトル・バスの実証プロジェクトも世界中で進んでいます。今回対象となったアナーバーは人口の多くが大学生で占められており、先端技術の研究に従事する人も多いことから、こうした実証が非常にやりやすい環境と言えるでしょう。まずは無償で始まるようですが、有償でのサービス実証がどのタイミングで始まるかも注目です。

【世界の自動運転シャトル・バスの実証プロジェクト動向に興味がある方】

世界の自動運転シャトル・バスの実証プロジェクトの動向のベンチマーク調査や、これらのMaaSに取り組むプレーヤーの動向調査などに興味がある方はこちらも参考。

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