グローバル物流最大手のFedExが、自動運転企業のAurora Innovationと、中・大型トラック大手メーカーのPACCARと提携し、自動運転トラックを使ったテストを行っていることを、9月22日に明らかにした。

Eコマースの急激な成長で求められる効率化

現在、世界中でEコマースが成長している。

経済産業省が実施した調査「電子商取引に関する市場調査」によると1)、世界の BtoC-EC 市場規模は、2019年では3.35兆ドルだったのに対し、2024年には6.39兆ドルになると予測しており、実に2倍近い成長となっている。

そうした中で、FedExは記録的な配送量を経験し続けている。

「電子商取引の急激な成長により、サプライチェーンのすべての段階で信頼性が高く効率的な輸送およびロジスティクスソリューションの需要が加速しています。」

ダラス-ヒューストン間を走行

上記を背景に、今回の実験は、自動運転トラックを使ってダラス-ヒューストン間のラインホール(※)を自動運転トラックを使って配送するというものになっている。

(※)ラインホールとは幹線輸送のことで、ターミナル間やハブ間の物の輸送のことを指す。

このダラス-ヒューストン間は往復で約500マイル(約804km)のルートとなっており、9月22日から走行を開始し、週に複数回走るという。なお、完全無人運転ではなく、トラックを監視し、安全性を高めるためのバックアップドライバーが搭乗している。

Auroraは2023年後半から自動運転トラックを商業化したい

Aurora Innovationは、今後の事業戦略として、同社が開発してきた自動運転技術を使い、2023年後半から自動運転トラックを商業化する計画を発表していた。

同社の自動運転システムを搭載したトラックの製造パートナーは、以前より提携関係にあったVolvo Group(Volvo Autonomous Solutions含む)とPACCAR(Peterbilt・Kenworthブランド含む)であり、この2社のブランドは米国市場で販売されるクラス8トラックの約50%を占めている。

参考:自動運転AuroraがSPACで上場、2023年後半にトラックで商業化

今回のFedEx・PACCARとの動きは、こうした戦略が背景にある中での一連の活動となっている。


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ー 技術アナリストの目 -
FedExなどの物流企業にとっての悩みは深刻で、Eコマース市場の急成長が、自動運転技術の導入を後押ししています。物流会社からすると、今まさに技術パートナーの選定を行うフェーズとなっており、これからも様々な走行実証の動きが出てくるでしょう。自動運転トラックの実用化の時間軸は、Plus.aiやTuSimpleなどの時間軸を踏まえると、おおよそレベル4で24年の商業化を目指す企業が多く、あと3年程度となっています。

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参考文献:

1) 令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査), 経済産業省(リンクはこちら