倉庫自動化のためのロボットを製造・展開しているLocus Roboticsが、工業用移動ロボットのWaypoint Roboticsを買収したことを、9月20日に発表した。

買収額については明かされていない。

倉庫内の自律搬送ロボットで先行するLocus

Locus Roboticsは2014年設立の米国ベンチャー企業だ。

倉庫内の商品・小包の搬送自動化ロボットの領域では、業界内で先行しているポジションにあり、すでに資金調達ラウンドはシリーズEまで実施しており、Crunchbaseによると累積資金調達額は299m$(約311億円)となっている。前回ラウンドでの時価総額は実に10億ドル(約1,100億円)で評価されている。

同社公開の動画への直リンク

Locusが展開しているマルチボットピッキングシステムは、人間の作業者が同じフロア内で作業をしていても、素早く、そして柔軟に移動しながら搬送作業を効率化することができる。ロボットは軽量に設計されており、安全に配慮されている。

様々な大手企業が利用

Locusのロボットはすでに様々な大手企業が利用している。

Locusのシステムを導入している顧客には、CEVA Logistics、DHL、Material Bank、Boots UK、GEODIS、Port Logistics Group、Verst Logistics、Radialなどの大手物流企業が含まれ、運用コストを節約しながら、フルフィルメントの生産性を2~3倍にしているという。

最近、配送最大手のDHLは、サプライチェーンプロセスをデジタル化する取り組みの一環として、Locusの自律搬送ボットを2,000台導入する契約を締結した。

Waypointの買収でラインナップを拡張

今回買収したWaypointは、2017年に設立された自律搬送ロボットを開発・製造しているベンチャー企業である。創業者は元iRobotでルンバに関わっていた人物だ。

Waypointが開発したロボットは、さまざまなモジュールとアタッチメントを取り付けることができることから、複数のアプリケーションに対応できる汎用性と拡張性を備えている。

Locusによる今回の買収の目的は、Waypointのロボットをラインナップに加えることで、急増する市場ニーズに幅広く対応できる体制を整え、新しい市場セグメントにアクセスすることとなっている。

 

Locus RoboticsのHPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
AMR(Autonomous Mobile Robot)の領域で早くもベンチャー企業同士での買収が行われる動きが出てきました。市場が急成長していることが伺え、ラインナップを拡げることで需要を取り込むことができるという判断です。DHLやCEVA等で本格的な運用フェーズに入っているようにも見え、今後ピッキングロボットなども合わせてさらに倉庫の自動化が進みそうです。

【世界のAMRの技術動向調査に興味がある方】

世界のAMRベンチャー企業のロングリスト調査や、世界でのAMRやピッキングロボットなどの倉庫自動化の動向、主要プレーヤーの実証プロジェクトのベンチマークなど、網羅的な調査に興味がある方はこちら。

詳細:先端技術調査・リサーチはこちら