ECG(心電)解析を専門に手掛ける英国ベンチャー企業のB-Securが、世界初となる開発者向けのECG開発キットをローンチしたことを9月16日に発表した。

汎用化の方向へ向かうECGセンシング

数年前のApple WatchへのECG(心電)センサの搭載を皮切りに、主要な企業のウェアラブルデバイスではECGセンサを搭載するようになってきている。心電データのモニタリングが重要となる心血管疾患は、毎年推定1,790万人がこの疾患で死亡しており、世界保健機関によると、全世界の死亡の32%を占めている。

しかし一方でECGは医療領域であるために、その開発に対するハードルは低くない。

B-Securはこう述べている。

「ECGの開発は複雑で時間がかかる可能性があり、社内で開発を行うと時間と費用の両方がかかる特定の機能が必要になります。」

そこで今回発表されたECG開発キットである。

これはECGセンシングをデバイスに組み込むためのハードウェアとソフトウェアで構成されいる。電極ガイド、電極開発テストジグ、ハードウェア設計ガイド、アルゴリズムのHeartKey®ソフトウェアライブラリ、ソフトウェアガイド、HeartKey®信号分析アプリが含まれている。

専用のトレーニングワークショップに加えて、キットのユーザーは24時間のエキスパートサポートにアクセスすることも可能だ。これらによってデバイス企業によるECG機能開発を迅速化する。

同社のアルゴリズムはFDAで認可を得ており、インテリジェントで適応性のある信号調整技術により、乾式電極での高精度のECG / EKGリアルタイム検出を可能にする。医療機器グレードでの心拍数や心拍変動、不整脈分析、ストレス分析などを可能にする。

「日常のデバイス向けに開発および最適化されたHeartKey®は、統合において究極の柔軟性を提供し、「ECG Everywhere」を真に実現します。」と同社は述べている。

 

B-SecurのHPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
一部のハイエンドウェアラブルデバイスではECGのセンサや不整脈検知のソフトウェアが一般的に利用できるようになってきていますが、ECGデータには様々な活用可能性の拡がりがあり、健康状態のモニタリングに対して重要なパラメーターとなっています。もっと測定・解析技術が汎用化して初めて、予防・未病の領域で使える技術開発が進むと思われますので、B-Securの今回の発表はヘルスケア領域においては面白い動きです。

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