中国の自動運転・ADAS用AIチップを開発しているベンチャー企業Black Sesame Technologies(黑芝麻智能)が、シリーズCの調達ラウンドで数億ドルを調達したことが、9月22日に発表された。今回の調達後のバリュエーションは20億ドル近くになるという。

今回の資金調達ラウンドは、Xiaomi(小米)傘下のXiaomi Yangtze River Industry Fund、そして香港や中国系のファンドであるWingtech Investment、Wuyuefeng Capital、Tianji Capital、Yuanhe Puhua、そしてレノボ傘下のLenovo Venture Capitalがリードインベスターとして主導し、Linxin Capital、China Automotive Chip Industry Innovation Strategic Allianceらも出資者として参加している。

BoschやSAICらとも提携

Black Sesame Technologiesは2016年に上海で設立されたベンチャー企業で、自動運転・ADAS向けのAI SoCチップを開発している。いわゆる研究開発型企業であり、同社の従業員約300名の80%が研究開発に従事している。

同社が開発しているチップは、RISC-V(リスク-ファイブ)ベースのチップである。オープンソースであり、ライセンスフリーのCPUアーキテクチャで、近年様々なベンチャー企業がRISC-Vベースの半導体チップを開発している。

2020年6月には第二世代のAIチップを発表。最近さらに、ハイエンド版の2 A1000 Proも発表。チップの処理能力は106TOPS(INT8)、196TOPS(INT4)に達しており、中国国産のAIチップメーカーとして注目を集めている。現在サンプル提供中であり、早ければ2022年末に量産・発売される見込みだ。

同社と協業するのは自動車企業のChina FAW、SAIC、Dongfeng Yuexiang、そしてTier1のBosch等であり、自動運転レベル2・3向けの認識システムソリューションに関する商業協力を行っている。

今回の資金調達において、Black SesameのCEOであるJohnson Shan氏はこう述べている。

「自動運転チップのイノベーションを加速させるために、「スマートカー」と「集積回路」戦略の機会を積極的に捉えていきます。このラウンドの資金調達の後、豊富な自動車産業のリソースと豊富な資本を活用し、製品の研究開発と商業化能力を改善し、技術的および製品の優位性の障壁を強化し、自律運転業界のエコシステムを積極的に拡大し、世界をリードする自律運転技術を構築します。」

 

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ー 技術アナリストの目 -
中国においても自動運転におけるコア部品となるAIチップの国産化が進められています。先日、RISC-Vベースのコアプロセッサを開発する睿思芯科(RiVAI)もシリーズA+でやはり数十億円規模の資金調達を行っており、AIチップ領域にも大きな資金が流れています。

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