グローバル自動車Tier1のZFが、自動運転ソフトウェアを開発している英国ベンチャー企業のOxboticaに出資をし、自動運転レベル4のシステムの共同開発を行うことを10月7日に発表した。

ZFはOxboticaの株式の5%を取得し、Oxboticaの諮問委員会に参加をする。

都市内の自動運転シャトルから展開

今回、ZFとOxboticaが開発を行う自動運転レベル4のシステムは、最初は都市内の乗客輸送を行う自動運転シャトルから展開することを狙う。Mobility-as-a-Service(MaaS)シャトルなどのさまざまな車両に統合して、都市環境におけるオンデマンドの乗客輸送や商品輸送車両を提供していく計画だ。

両社の協業は2019年から続いており、Oxboticaが開発する自動運転ソフトウェアに、ZFの自動車グレードのコンピューティングプラットフォームAIであるProAI、そしてフルレンジレーダーを統合している。

Oxboticaの開発しているSeleniumは、特定のセンサや通常プリインストールされるHDマップを必要としない、柔軟性の高いシステムとなっている。

(補足)Oxboticaのシステムについては事前に定義されたHDマップを必要としない、としており、GPSの信号を遮る高層ビルなどに囲まれた都市部でも役立つシステムということであるが、実際に実用化する際にHDマップを使わないかどうかは不透明。例えば2018年に英国でAddisonLee GroupとOxboticaで3Dマッピングの実験も行っている

ZFは自動運転のためのスーパーコンピューティングプラットフォームである、ZF ProAIをこの数年開発してきており、ADASから自動運転レベル5まで幅広い用途での活用を想定してラインナップを揃えている。

今年4月の上海モーターショー、そして9月に行われたIAA Mobilityでも次世代のProAIの技術を出展。前世代のものより、計算能力は66%増加し、消費電力は最大70%削減。レーダー、LiDAR、カメラ、およびオーディオパターンから得られる環境計測データを統合し、ディープラーニング・プロセスに最適化されたプロセスで処理を行う。この最新のProAIは2024年末に量産開始することが明らかにされている。

ZFとOxboticaは、自律シャトルへの自動運転システムの展開に先立ち、緊密に協力して技術の開発を継続し、統合された自動運転車システムの妥当性確認と検証を行っていくという。

 

OxboticaのHPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
ZFは2019年にオランダの自動運転車両を開発する2getthereを買収し、自律走行シャトルの開発を強化することにも取り組んできました。RABusプロジェクトの一環として、ドイツの都市フリードリヒスハーフェンとマンハイム間を移動する自動運転シャトルの開発にも取り組んでいるようです。今回のOxboticaへの出資は、こうした流れの中での都市部での自律走行シャトルへの事業開発を強化する動きの1つであるように見えます。

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