2020年12月3日、米国ベンチャー企業のEverlywellがシリーズDで175m$の資金調達を完了したことを発表した。

これは新規投資家としてBlackRock、The Chernin Group (TCG)、Foresite Capital、Greenspring Associates、Lux Capital、Morningside Ventures、Portfolia、また既存投資家のGoodwater Capital、Highland Capital Partners、Next Coast Venturesが今回の出資に参画している。

プレスリリースによると、同社がこれまでに調達した資金の総額は250m$を超えるという。

自宅で健康検査を行うキットを提供するスタートアップEvelywell

Everlywellは2015年に米国のオースティンで設立されたベンチャー企業。一般ユーザーを対象とし、指先から血液サンプルを自宅で取り、ラボで解析して診断結果を通知するというサービスを提供している。

診断の種類には様々あり、Food Sensitivity Test(食物感受性試験)、甲状腺検査、屋内・屋外のアレルギーテスト、コレステロール・脂質テスト、睡眠とストレスのテスト、など30件以上のテストが可能となっている。

すでにユーザーは100万人を超える

今回のリリースで合わせて発表されたのは、同社のその急速な成長度合いである。2016年の発売以来、100万人以上がEverlywellのテストとデジタルプラットフォームを使用してきたという。

また、小売店舗での販売拡大もあり、Everlywellの総売上高は毎年100%以上の成長をしているという(※1)。同社のキットを扱う小売店舗は米国で10,000店舗以上の場所に展開し、米国小売のTarget、Walgreens、CVS、Krogerの店舗が扱っているという。
※1 やや原文の表現があいまいだが、CAGR:年平均成長率のことだと思われる。つまり、前年の売上高に対して倍々成長をしていると想定される。

COVID-19も同社の市場には追い風に

同社製品は実はFDAの認可を得ていないため、医療機器ではなくウェルネス・健康領域のサービスとなっている。しかし、COVID-19の感染拡大に伴い、2020年5月にFDAは同社のCOVID-19テストホームコレクションキットに対して緊急使用許可を与えた。

また、同社の企業向け事業も大幅に拡大し、2020年で職場、大学、診療所、および政府機関との100件を超える取引を成立させたという。

 「パンデミックは、未知のコストから混乱や不便まで、アメリカ人のラボテストのチャレンジに光を当てました。私たちはこれまで5年間、テストを受けるための新しい方法を人々に提供してきました、そして急速に拡大する道をリードし続けます。」と、Everlywellの創設者兼CEOであるジュリアチーク氏は述べている。「ラボテストは迅速かつ簡単な方法となり、近い将来、バーチャルケアと組み合わされると信じています。この世界クラスの投資家とのパートナーシップにより、人々を最優先とした、革新的な多世代デジタルヘルス企業を構築することができます。」

(関連プレスリリースはこちら


2021年に注目すべき、デジタルヘルスの健康・ヘルスケアモニタリングや解析技術の動向について整理した。技術の全体像について知りたい人はこちら。

参考:(特集)2021年デジタルヘルスの技術動向 ~健康・ヘルスケアモニタリング / 解析~


ー 技術アナリストの目 -
現在ではあくまで同社のテストキットはFDAの認可が無い、ウェルネス・健康としての検査となっており、本格的に健康診断を代替するものではない。しかし、将来的には医療機器認定を受ける可能性も十分あり、そうなると本格的に自宅での検査が実用フェーズに向かうものと思われる。同社は着実に成長を遂げており、今回のシリーズDで調達した資金でどのような成長を見せるのか期待である。