背景

現在、xRテクノロジーが家電やモバイルだけでなく、自動車や産業用途、医療など様々な用途で展開されようとしている。次世代のホログラフィックディスプレイの開発も進んでおり、要素技術として触覚フィードバック・ハプティクス技術が注目されている。

ロングリストに含まれる技術群

このロングリストには以下のようなハプティクス技術を持つベンチャー企業が含まれている。

  • 超音波による空中触覚アレイ
  • EMPフィルムベース触覚デバイス
  • マイクロ流体スキンによる触覚アクチュエータ
  • 音声振動変換デバイス
  • 高感度ピエゾアクチュエータ
  • 極薄ピエゾ薄膜デバイス
  • 建材・内装埋め込み型触覚技術
  • 低共振周波数による高感度触覚技術 等

触覚・ハプティクスベンチャーの事例

当社はこれまでの調査で、様々なハプティクスベンチャー企業をロングリスト化して、その動向をモニタリングしている。

用途にはxR全般、医療xR、タッチスクリーン、ウェアラブルデバイス、スポーツ、VRトレーニング、生活支援、自動車、モバイル・家電、家具・インテリア、衣服など様々なアプリケーションが想定されている。

主要ベンチャー企業の概要

(1) Ultraleap(英国)

  • 設立年       :2013年
  • 国         :英国
  • 資金調達フェーズ  :レイターステージ(シリーズD)
  • 最新資金調達日   :2021年6月
  • 最新資金調達額   :49m$(Series D)
  • 累積資金調達額   :134.7m$
  • 事業内容      :空中触覚デバイスの開発
  • URL        :https://www.ultraleap.com/

Ultraleapは、2013年に設立された英国ブリストル大学発のベンチャーUltrahapticsが母体となったベンチャー企業。mid-air haptics(空中ハプティック)と呼ばれる超音波技術を使った空中触覚の技術開発に取り組んでいる。

参考:CEATEC2020でも展示された英国ベンチャーUltraleapの空中ハプティクス

(2) Novasentis(米国)

  • 設立年       :2006年
  • 国         :米国
  • 資金調達フェーズ  :M&A(KEMETによって買収されている)
  • 最新資金調達日   :2018年2月
  • 最新資金調達額   :9.0m$(Series Unknown)
  • 累積資金調達額   :24.4m$以上
  • 事業内容      :電気機械ポリマー触覚フィードバック技術の開発
  • URL        :http://www.novasentis.com/

Novasentisは2006年に、元AppleのExecutiveであるRalph Russo氏が設立したベンチャー企業。技術の出自はペンシルバニア大学から来ており、同大学で生み出されたポリマーフィルムの技術知財をNovasentisが買い取り、製品化を進めてきた。

参考:グローバル電子部品大手KEMETが買収したハプティクスベンチャーNovasentis

(3) HaptX(米国)

  • 設立年       :2012年
  • 国         :米国
  • 資金調達フェーズ  :SeriesA
  • 最新資金調達日   :2021年7月
  • 最新資金調達額   :12.0m$
  • 累積資金調達額   :32.5m$
  • 事業内容      :マイクロ流体アクチュエータを使った触覚グローブの開発
  • URL        :https://haptx.com/

HaptXは2012年にシアトルで創業のハプティクスベンチャーである。HaptXの技術の特徴は、その触覚フィードバック機構にある。特許取得済みのマイクロ流体アクチュエーターを使う。このアクチュエーターは、高変位空気圧アクチュエータとマイクロ流体エアチャネルアレイを含む、柔軟なシリコンベースのスマートテキスタイルとなっている。こうしたマイクロ流体アレイがグローブ全体に130個埋め込まれ、ユーザーの皮膚を押してフィードバックする。

参考:ハプティクス(触覚)グローブのHaptXが最新モデルを販売開始

参考:VRグローブを開発するHaptXが全身触覚フィードバックを開発するため1.5m$のNSF助成金を取得

(4) Neosensory(米国)

  • 設立年       :2015年
  • 国         :米国
  • 資金調達フェーズ  :Private Equity Round
  • 最新資金調達日   :2021年1月
  • 最新資金調達額   :N.A.
  • 累積資金調達額   :14.2m$以上
  • 事業内容      :リストバンド型デバイスでの触覚による耳鳴り症状軽減
  • URL        :https://neosensory.com/

耳鳴りの症状に苦しんでいる人を対象にしたデバイスで、音と触覚で刺激を与えて耳鳴りを軽減することを狙う。スタンフォードの神経科学技術がベースになっており、10年以上の研究に基づいて実用化されている。デバイスはリストバンド形状をしており、バンド内に複数の振動モーターを備えている。

(5) AITO BV(オランダ)

  • 設立年       :2012年
  • 国         :オランダ
  • 資金調達フェーズ  :シリーズD
  • 最新資金調達日   :2020年8月
  • 最新資金調達額   :3.5m$
  • 累積資金調達額   :11.9m$以上
  • 事業内容      :ピエゾセンサ・アクチュエーターによる一体型触覚デバイス
  • URL        :https://aito-touch.com/

AITO社が開発した独自の信号処理および駆動アルゴリズムにより、既製のミニチュアピエゾディスクをセンサーとアクチュエーターとして同時に機能させ、センサ・アクチュエーター一体型の触覚デバイスとして実用化した。家電や自動車の大手メーカー、センサメーカーなどと提携して開発を進めている。


上記の触覚フィードバック・ハプティクス関連ベンチャーのロングリストや、技術動向調査、大学研究機関も含めた技術調査に興味がある方は、お問合せよりご相談ください。(オンライン面談でのロングリストサンプルの閲覧も可能です)

ベンチャー企業だけでなく、大学研究機関も含めた調査や、特許・論文調査も含めた技術動向調査が可能です。